エアーブラシでの塗装では、マスキングによる塗分けは不可避な作業です。
マスキングに近道はなく「どれだけ上手い人でもすごく時間がかかる」地道な作業です。
少しでも楽に作業するためには「ちょっとしたコツ」を知っておくと良いでしょう。
マスキングテープを買おう
マスキングテープは色々種類がありますが、初めて買うならタミヤ製6mmがいいです。
ただし側面に傷やホコリの付着がないように「ケース付き」を購入しましょう。
「マスキングテープは端をカットして使う」と解説されることが多いです。
しかしながら、私は「目で見てゆがみや毛羽立ちが無ければ」カット不要と考えます。
現在、模型用のマスキングテープは巻き付けもカットもとても精度がよいです。
(昔は金物屋のペンキ塗装用品を流用して使っていたので、その名残でしょう)
マスキングテープは大量に消費するものなので、無駄なく使いたいものです。
マスキングに必要な道具は
基本的にマスキングテープは好みの幅にカットして使います。
デザインナイフ・定規・カッターマット・ピンセットは必須です。
なかでも定規は金属製の「シンワ・シルバースケール150mm」がおすすめです。
テープをカットのする場合、定規は薄くて硬い方が使いやすいです。
また、目盛りの視認性がよく0.5mm単位の目盛りがあるので測定に不足はないです。
透明のプラスチック定規も一定の使い道はありますが、模型製作にはやや不向きです。
カッターの刃で傷みやすく、目盛りも印刷なので剥げやすいからです。
デカールばさみを買おう
テープの長さを調整するのにデカールばさみが便利です。
テープの長さキットに貼り付けて「現物あわせ」をしてカットすることになりす。
塗装面の上ではナイフは使えませんし、剥がしてカットして再度貼るとズレもでます。
そこで、貼り付けたテープの端を少し浮かせてはさみで切ればズレは防げます。
デカールばさみは先端が細くかなり精密な作業が出来ます。
目で見える範囲なら切る位置の調整も自在にできます。
また、はさみは「切ることに特化している」のでナイフのような「ムシレがなく」綺麗に直線も曲線も自在に切れるのが魅力です。
文房具のはさみとは違う使い勝手は一度使えば手放せなくなりますよ。
マスキングテープを貼る
基本的なマスキングの手順は以下になります。
- 細切りマスキングでラインを出す
- マスクしたい面を埋める
細切りマスキングを使う理由は「取り回しがよい」からです。
マスキングテープは少しだけ柔軟性があります。
「ピンと張れば直線」「少しずつ曲げて曲線」とある程度の微調整も効きます。
簡単な面でも「狙った場所に貼る」には細切りマスキングの方が貼りやすいです。
細切りマスキングは切り出して作りますが幅は2mm以下なら特に気にする必要はありません。
ただし、切り出し面が「綺麗な連続線」になるように1度切りで行います。
マスクする面を効率よく埋める
細切りテープでラインを出したあとはマスキングの面を埋めます。
テープは少しだけ重ねてはりますが、重なりは少ない方が良いです。
「テープから染み出して塗料が漏れる」と心配になるかもしれません。
しかしながら「マスキングの漏れ」はほぼ「重なったマスキングテープの浮き上がり」から吹き込むことが原因です。
重なる部分が増えるほど、塗料漏れの可能性も増えてしまいます。
ラップ付きマスキングテープを使おう
マスキングは塗料がかかって欲しくない面をすべて覆う必要があります。
全てをマスキングテープで覆っても構いませんが、意外とテープの消費量が増えてしまいます。
そこで「ラップ付きマスキングテープ」で広い面を覆うのもおすすめです。
まずはラップの一辺にマスキングテープを貼ります。
それから、ある程度覆ったラインにテープに合わせて貼り付けぐるりと覆ってしまいます。
ラップは柔軟性が高くて塗料が染み出すことはまずありません。
テープは意外と硬くキットの面に馴染みにくいので、テープだけで覆うよりむしろ簡単です。
ラップは「安物のぺらぺら」の方が、やりやすいでしょう。
マスキングで角を出すコツ
パーツ上でトレースして一旦剥がしてナイフで切り出すのはおすすめできません。
1度剥がしてしまうと再度同じ場所に貼るのが結構難しいです。
それよりは以下の方法をお勧めします。
- 角のはみ出しは無視して一度貼り付ける
- 終端を少し浮かせて、デカールばさみで逃げ角を作ってカット
- もう一辺は始点を鋭角にカットしたテープを貼り付ける
こうすれば角周辺にテープ同士の張り合わせが出来ず綺麗なラインがでやすいです。
また位置合わせが「鋭角の先端」で目印になるので調整がしやすい気がします。
マスキングで曲線を出すコツ
細切りマスキングはある程度曲線にも追従します。
しかし曲線の半径が小さいと「内側が余り外側が足りず」上手く貼れません。
そんな時は「ゆるい曲線の細切りマスキング」を切り出してください。
こうすることで追従させる曲げ率を減らし曲線をだしやすくなります。
必ずしも「描きたい曲線ぴったりの細切りマスキング」である必要はありません。
ざっくり切り出しましょう。
曲線マスキング専用テープを使ってみる
クレープ紙製の細幅マスキングテープも市販されています。
これは先の「ゆるい曲線の細切りマスキング」と同様の狙いのものです。
またビニール製の曲線用マスキングテープも市販されます。
こちらは、紙よりも伸びる性質を生かして曲線になじませます。
追従性が良く、かなりキツイ角度の曲線も一気に貼ることが可能です。
マスキングは貼り合わせる箇所が多いほど吹き漏れの事故が増えます。
少し高価ですが専用の工具を買うのも良いでしょう。
マスキングで円形を出すコツ
円形を切り出すのに「サークルカッター」または「コンパスカッター」を使用します。
サークルカッターは比較的使いやすいです。
しかし最小切り出し径10mmと模型用途としては物足りません。
コンパスカッターは最小1mmで切れるのですが、上手に円形を切るには少しコツがいります。
これは「カッターの刃(=本体)は少し寝かさないと切れない」のと「力を均等にかけるのが難しい」からです。
とりあえずおすすめの方法は「コンパスを固定して、土台の方を回転させる」です。
この切り方だと、刃の角度と位置を固定してテープにかかる力を一定にしやすいです。
刃に力をかけ過ぎるとテープが毟れてしまいます。
刃は触れる程度の力で、土台を3回転ほどさせて回数で切ってみましょう。
円形マスキングテープを買おう
サークルカッターで小径を切り出すと「めくれ」や「むしれ」で上手くいかない場面も多いです。
「ポンチ」を使いたいところですが、単体でも意外と高価で種類を揃えるのが大変です。
実際キャラクターモデルの製作では5mm以下の小径を使うことが多いです。
専用の円形マスキングテープなら好みのサイズの綺麗な円形をすぐに使うことができます。
価格もそれほど高くなく、大幅効率アップにもなるので是非使ってみてください。
小径のマスキングにゾルを使ってみる
バーニア等へこみ部分小径のマスキングならマスキングゾルを使うのも手です。
マスキングゾルを中心から少しずつ垂らしていくと、意外と綺麗な円形になります。
また、縁の部分は表面張力ではみ出しにくく、それほど神経質に形を整える必要もありません。
なによりも、「手間がかからない」のが魅力です。
円形の外周をマスキングするには
曲線マスキングと同様、ゆるい曲線細切りマスキングテープを使います。
無理に一度に貼ろうとせず少しずつカットしながら馴染ませます。
小径の場合は少し大きめの円形を切り抜き、外側部分を十字にカット。
外周に馴染ませながら貼り合わせてマスキングするのも良いでしょう。
パーツ上でマスキングテープを切ってしまう
パーツ上でマスキングテープを切った方が良い場合もあります。
- 複雑な曲線や直線の組み合わせの場合
- 小さい面積の場合
- スジボリがある場合
パーツの上でナイフを使うのは怖いですが、位置合わせのズレもなく貼り方に悩む必要もなくなるので積極的に狙える場所を探しましょう。
スジボリがなければ、あらかじめ彫っておくのも綺麗な塗分けがしやすくなります。
当然スジボリにナイフで傷がつきますが、どうせ見えなくなります。
パーツ上でマスキングテープを切るコツ
マスキングテープは「マスクしたい側にしっかり密着」させます。
まずはマスキングしたい場所にテープを軽く置いてから、スジボリ付近だけを竹串などでなぞります。
なぞった場所を中心にテープが馴染む際、両端が浮いていないと上手く追従しないからです。
テープを馴染ませてラインが見えてきたら、ケガキ針などでテープをスジボリの底までしっかり押し込みます。
これはあくまでテープを押し込んで「カットをするラインを決めるガイド」を作る作業です。
ケガキ針でも切れていきますが、「ぷちぷち」と穴が連続して開くだけなので綺麗なラインになりません。
力が入り過ぎないよう針を寝かして動かすと良いでしょう。
ガイドが出来たら、よく切れるナイフで弱い力で少しずつカットしていきます。
角の部分などはパーツの向きを色々変えながら最終的に抵抗なく一筆書きが出来る状態までカットします。
テープを剥がす際もゆっくり行います。
無理にテープを剥がすとムシレが発生するので、切れていない場合は再度ナイフをいれます。
あせらずゆっくり作業すれば、意外と簡単に綺麗にカットできます。
マスキング作業ににあると便利な工具
ここまでコツを説明してきましたが、それでも地味で時間がかかる作業に変わりありません。
少しでも楽にマスキングするには道具に頼るのもアリだと思います。
デバイダーを買おう
デバイダーは製図用の「物の距離を移しとる」両端がニードルのコンパスのような工具です。
プラモデル製作では以下のような場面で使います。
- 同じサイズのラインテープを作る
- 縁から等距離にスジボリ(アタリ線)を入れる
- 定規が入らない凹みの幅を図る
「なくても良いが意外と便利」で比較的安価なのでおすすめです。
細切りマスキングテープを買おう
テープを均等な幅で切り出すのは意外とメンドクサイです。
しかも、均等な幅のテープが必要な場面は少ないので必要性は低いです。
しかしながら、安価で入手性もよいので買ってしまうのも手です。
「ラインを塗装で表現」「空母の甲板を塗り分けたい」」など
特定の場面ではとても便利なツールです。
マスキングゾルを買おう
マスキングゾルは液体状の樹脂を塗って乾燥させて被膜を作りマスクするための塗料です。
材質の違いでブチルゴム系とビニール系に分かれます。
おすすめはビニール系の「Mr.マスキングゾル改」です。
ゴム系のネオの方が安いですが、粘度が高く初心者には塗りにくいと思います。
他社のビニール系ゾルは乾燥が早く扱いやすいですが高価になります。
マスキングゾルがなくてもマスキングは出来ますが・・・
- テープのちょっとした浮きやスキマを塞ぐ
- 瞳やモールドなど描き込みによる塗分け
- 剥がれる塗料としてパーツの位置決めの下書き
模型製作において「あるとすごく便利」なツールです。
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