プラモ・初めてのエアーブラシ塗装(購入編)

塗装自習室

現在はガンプラをはじめ「多色成型で組み立てただけで綺麗に完成するプラモデル」は多数あります。
「ガンダムマーカー」や「筆塗りに適したシタデル等水性塗料」など塗装マテリアルも豊富に販売されて、「あえて、高いお金をかけてエアーブラシの塗装環境を揃えなくても」と思われますが

「初心者こそエアーブラシ塗装をした方が良い」

と断言します。その理由は・・・

エアーブラシ塗装をお勧めする理由は

「表面処理のストレスがなくなる」


ゲート跡の処理や合わせ目処理は、いくらやすり掛けを丁寧にしても「目立たなくなる」程度までにしかなりませんが、塗装してしまえば表面処理はある程度でも「全くわからなくなります」
「成型色で綺麗に仕上げる」ための「やすりは#1000番までかける」「ゲート跡をマーカーでリタッチ」「ゲートを爪でこする」「ムニュ着で合わせ目を消す」「瞬間カラーパテを使う」など様々なテクニックが巷であふれていますが、「塗装を前提にする」とそれらは不要になります。

「初心者でもきれいな塗装ができる」


コストや準備の手軽さで「筆塗り」はとても優れていますが、「綺麗に塗る」には、それなりの「腕と時間」が必要になります。
筆塗りは「筆についた塗料(液体)を塗装面に移す」ので、塗料のつく量・筆の接触による塗面の乱れ・塗膜の厚さによる乾燥速度の遅さなどをコントロールしなければ綺麗な塗面にはなりません。
「塗ムラで表面がデコボコ」「塗ムラでまだら模様」など、「塗らない方が良かった」と思う経験をした方も多いと思います。
エアーブラシは「霧状の塗料の粒を塗装面に乗せる」ので、条件が同じなら「誰が塗っても同じ塗面」になります。
とくにキャラクターモデルなど「明るい色」で「均一な塗装面」が欲しい場合の効果は圧倒的です。

「作れるプラモデルの種類が増える」


そもそも成型色でも見栄えの良いプラモデルは、バンダイの「ガンプラ」やコトブキヤの「美少女プラモデル」ぐらいで、飛行機や戦車や車などの「多くのプラモ」は「塗装が前提」になっています。
もちろん、無塗装で「形状や組み立てる工程」を楽しむのもプラモデルの楽しみ方としてありですが、「自分のイメージ通りのプラモデルが作りたい場合」エアーブラシは大いに助けになります。

「塗装のテクニックがエアーブラシ塗装前提である」


もちろん「簡単フィニッシュ」と言われる「マーカー」や「パステル」を使った塗装法もありますが、ベースとなる「缶スプレー吹き」ははずせません。
エアーブラシがあれば、ベースの塗装はもちろんグラデーション塗装や鏡面仕上げなど、エアブラシ独自の塗装表現も可能になります。
模型雑誌やSNSなどの写真も「ほぼエアーブラシ塗装」なのは、「誰もがある程度再現可能な作品を作れるから」だと思います。

エアーブラシ塗装にかかる金額は?(結論3万円以上かかります)

エアーブラシ塗装にかかる金額に上限はありません。
Youtuberや模型サイトの情報では「大は小を兼ねる」で高価な工具をばんばん進めていますが、ここでは「初めてエアーブラシ塗装をする方」が最低限の必要なものと出来れば避けた方がよいもので選んでいます。

エアーブラシ塗装に必要なもの(参考価格)

コンプレッサー:GSIクレオス Mr.リニアコンプレッサー L5(22,000円)
ハンドピース:GSIクレオス プロコンBOY PS274 WA ダブルアクション 0.3mm(8,500円)
圧力計付きレギュレーター:GSIクレオスMr.エアーレギュレーター Ⅳ(L5用)またはⅢ(5,000円)

本体一式でも「3.6万円」もかかってしまいます。その他にも・・・

防毒マスク:3M 防毒マスク 塗装作業用マスクセット 1200(1,800円)
持ち手:GSIクレオス Gツール ネコの手持ち手棒(1,100円)
塗装台:GSIクレオス Mr.ネコの手シリーズ(800円)
塗料皿:金属製のもの10枚入り(150円)
調色スティック:タミヤ調色スティック(400円)
スポイト:百均(110円)
ツールクリーナー:Mr.ツールクリーナー改特大400ml(800円)
うすめ液:Mr.カラーうすめ液(特大)(800円)

本体以外にも合計6,000円はかかります。

エアーブラシ塗装には、一般的に「エアーブラシ」と言われる「コンプレッサーとハンドピース」以外にも色々必要になります。
塗装ブースもかなり高額な商品です(1万円チョイの中華コピーから5万円越えの高級機まで)
油断すると1万円単位でお金が飛んでいきまので、出来るだけ安く揃えたいところです。

コスパ最強のエアーブラシセットは

中華コンプレッサー ツールズアイランド 3L タンク付きは「プロもおすすめ」する商品です。
最大圧力0.4mpaで一般的なプラモデル塗装で必要な0.05~0.15mpaを「大きく上回る」パワーとエアータンクで脈動(ポンプの構造上発生する風量の強弱)を抑え安定したエアーが得られるのが、プロが好む理由だと思われます。
なにより「1万円ちょいで全部込み」は魅力的です。
動作音は「耳慣れない機械音」でうるさく感じますが、「防振ゴムで振動対策」をした上で一戸建てや鉄筋コンクリート造りのマンションの「個室」であれば夜間でもなんとか使用できます。

間違えなくおすすめできる商品ですが、気になる点もあります。

「重い」「デカい」「うるさい」

「重くて(5kg)デカい(31cm×31cm)振動がある」ので「ちゃぶ台塗装」にはなじみません。
普通の部屋に置くと「異物感」がすごいです。
「静音」を謳ってますが、あくまで「外壁」を隔てて気にならないレベルです。
自分で聞くと耐えれるレベルか?は人それぞれになります。

付属エアーブラシが「プラモデル制作に適さない」

中華製なので精度が悪く「何度も分解洗浄する」プラモデル制作において、まったく信頼できません。
そもそも「当たり外れ」がある時点で本来買うべきものではないので、あくまで「おまけ」として考えた方がいいです。

レギュレーターが「プラモデル制作に適さない」

圧力計のゲージが10kgf/0.5kgf単位では、調整が困難です。特に初心者のうちは細かく圧力調整をした方が塗装は簡単になるので、別途圧力計付きレギュレーターが欲しくなります。

エアブラシスタンドは別途必要

デカくて振動もあるので床置きになります。そもそもスタンドがないので別途購入になります。

その他のコンプレッサーは

流行りの充電式エアーブラシはおすすめしません

価格はハンドピース込みで7000円ぐらいと安く、エアーの圧力も0.1Mpa以上出るものもあるので「とりあえずエアブラシ塗装は出来ます」
(ちなみにpsiはポンドヤード法の単位で、少し調べた機種の22psi=22×0.00689=0.15Mpaになるはずですが、ポンド・ヤード法の単位を使うこと自体にプラモデル用として違和感がありますね)


いっけん初心者向けにみえますが、「小型・安価」ゆえに問題点も多いです。

  • 小型のポンプで無理やり圧力を出すので脈動がでる
  • 振動・騒音対策ができないので「結構うるさい」
  • オールインワンゆえに、どうしても重くなる
  • 付属するのが安価なハンドピースのため精度が悪く「当たり外れが」ある

特に、いくら軽量でも手持ちでコンプレッサーを抱えると取り回しが悪くなり、エアーブラシ塗装最大の魅力である「繊細な塗装」ができません。
小型化ゆえに熱処理ができず「連続稼働時間が短く、耐久性も期待できません」
「試しに使ってみる金額」としてはそれなりに高額なので、「それなら長く使えるもの」をおすすめします。

同様の理由で、安価なボックス型ミニコンプレッサーもおすすめできません

充電式は「空中で使えるのでまだまし」ですが、ボックス型は騒音振動がさらにひどくなります。
重量や本体の剛性があれば振動は抑えられるのです、当然高価になってしまいます。

エアータンクなしの中華コンプレッサーはおすすめしません

低価格で目を引きますが、「タンクがないことによる」デメリットがもろに出ます。

  • 連続駆動時間が20分と短すぎる
  • ピストン式コンプレッサーなので脈動もでる
  • エアーブラシを使用中は常にポンプが稼働するので動作音が気になる

タミヤ・RENO2は、どうか?

家電量販店・近所の模型屋でも手に入る「入手難度の低さ」と定格圧力0.08Mpaと必要十分な能力で、リニアコンプレッサーL5より6,000円ほど安いと、普通に良いコンプレッサーです。
パワーはL5と同等(やや弱い)ですが、「動作音・振動はそれなりに大きく」対策は必須です。
レギュレーターとハンドピースを合わせて「一式そろえて3万円弱」では初心者のお試しとしては「かなり高額な買い物」になります。
コストパフォーマンスで中華コンプレッサーに劣り、静音性ではL5に劣るのでやや中途半端な印象はありますが十分お勧めできるコンプレッサーです。

クレオス・プチコンは微妙か?

定格圧力は0.05Mpaと能力に不安がありますが、プラモ制作では必要最低限の性能はあります。
ここで言う必要最低限とは「グラデーション塗装など繊細な細吹き」からノズル径0.5mmの「クリアー吹き」までは一応できることをさします。
リニア式なので耐久性はもちろん連続駆動時間(1時間)が小型コンプレッサーに比べて長いので通常のプラモ作りに置いて「圧が下がってきて吹けなくなる」ことはまずないです。
「何より圧倒的な静音性」とリニアコンプレッサーL5と比べて1万円ほど安いのは魅力的です。
低い定格圧力は逆に「レギュレーターであえて減圧する必要がない」メリットにもなりますので、「初めてエアーブラシ塗装をする方」には特に不満なく使えます。
「ある程度塗装ができるようになって」買い換える時も「性能があがる感動」を素直に味わえるので「スモールスタート」の1台としておすすめです。

それでも、リニアコンプレッサーL5をおすすめする理由

静音性がよい

音は意外と気になります。はっきりいって「静かと言われているL5でも十分うるさい」です。
具体的な音は言いにくいですが「TVや音楽のボリュームを少し上げないと聞こえづらくなるぐらい」の騒音はでます。
プラモ制作など趣味の時間をとれるのが「夜も更けてから」の人も多いと思います。
「自分の個室がない」人も多いと思われます。
「いつでも気が向いたときに塗装できる」ために、お金をかけるのはありだと思います。

耐久性が高い

リニアコンプレッサーは電磁石でピストンを引いてバネの反発でピストンを押すことにより、空気を圧縮します。
モーター・クランク(回転を上下動に変換する部品)・ピストン連接棒などの可動部分が存在せず構造上シンプルなので非常に長く使えます。
「10年以上平気で動きます。」
長く使えることは高価な機械を買ううえでなによりのメリットかと思います。

実はコストパフォーマンスが良い

確かに中華コンプレッサーに比べて高額ですが、国産で取扱量も多い商品なので「値引き率」はかなりよいです。
「エアーブラシに必要なもの」で紹介した参考価格は「2012年6月の実勢価格」で、定価の35~40%OFFの価格となっています。
「エアーブラシセット」などさらにお得に買うこともできます。
信頼性が高くよく売れてる商品なので「メルカリ」等のオークションサイトでさらに安く買うこともできます。(その点でタミヤRENO2もおすすめ対象になります)
中華コンプレッサーは確かに安いですが、「大物プラモ(1/60のガンプラ・1/350の艦船・ラジコンのボディ等)」を作るのではない限りはオーバースペックで、なにより「信頼性はあまりない」が欠点です。

初めてのハンドピースはダブルアクション0.3mm一択

ハンドピースにはいろいろな種類があります

  • シングルアクション
  • ダブルアクション
  • ボタンタイプ
  • トリガー式

しかしながら、最初の1本は「ダブルアクション」一択です。

ダブルアクションとは

「ボタンを押してエアーを吹くこと」と「ボタンを引いて塗料の量を調整すること」でエアーに塗料をのせて吹き付ける工具です。
逆にシングルアクションは「ボタンを押すとエアーと塗料が同時にでる」タイプをいいます。
ボタンを押すだけで常に同じ条件で吹けるので、操作が楽な面もあります。
ただし塗料の量の調整は後部のダイヤルネジで行うため、塗面に合わせて調整しながらの塗装は苦手です。

まずはボタンタイプから使おう

無記名のハンドピースと言えば「ボタンタイプ」になります。
ボタンタイプはもともと美術家や写真家が「絵を描くための工具」として改良されてきました。
それゆえに「筆で絵を描くように」狙った場所に吹き付けるのに適した形状をしています。
繊細なコントロールが得意で「グラデーション塗装」や「迷彩塗装」など様々な表現ができるのが特徴です。

トリガータイプはどうか?

「トリガータイプ」はピストル型の形状のため、操作時の指の負担が少なく「楽にふける」のが特徴で通常の塗装であればこれ一本でも何の問題もありません。
なれれば、「ボタンタイプと同じように操作できます」
実際「2本目以降はトリガータイプばかり購入する人も多い」です。

口径は0.3mmで問題なし

ハンドピースには口径の選択肢として主に「0.2・0.3・0.4・0.5mm」がありますが、もっとも一般的な0.3mmを選んでおけば、サーフェーサー・メタリック塗料・クリアコートまであらゆる塗料が吹けます。

価格の安いものには注意

メーカーは国内大手(タミヤ・クレオス・エアーテック)の定価1万円以上のものならどれでも良いです。
通販では2000円程度の激安ハンドピースもありますが、製造・組み立て・検査精度が悪いので「買ったもの全てが別物」ぐらい、製品にばらつきがあります。
塗装になれてくると「がたつき」「ひっかかり」など操作性の悪さが「思った以上にストレス」になってきます。
ハンドピースは丁寧に使えば10年は持ちますので、あえて「ガチャ」を引かなくてもいいでしょう。

レギュレーターを買いましょう

「プラモ塗装の使用圧力」は一般的に0.5Mpaから1.5Mpaです。
コンプレッサーからの圧力そのままでは吹く場面によって高すぎる場合があります。
「ダブルアクションのハンドピース」ならある程度風量の調整はできますが、ボタンのストロークは非常にせまく「かなり技術が必要になるので」初心者はレギュレーターで減圧した方が楽です。
フィルター付きレギュレーターが一般的なので「ハンドピースに水が入る事故」も防げます。
圧力の調整に圧力計は必須ではありませんが初心者のうちは「目視」の方が楽ですし、「ハウツー本」では圧力の目安が書かれることが多いので「絶対欲しくなる」と思います。
予算が一気に上がりますが、出来れば圧力計付きレギュレーターの購入をしましょう。

結局どれを買えばいいのか?

人それぞれの環境によって、正解がないのは確かです。
「静音性」を重視する人もいれば、「安ければ安い方がいい」と思う人もいるでしょう。
ただし「エアーブラシを始める」にはそれなりのお金(1万円以上)はかかります。

せっかく大金を出すなら「エアーブラシ塗装」ならではの「プラモデルを塗る楽しさ」を味わって欲しいと思います。

「ダメなら捨てる(使わない)」で出せる金額ではないの、「安物買いの銭失い」にならないようにしたいものです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました