プラモ・はじめての組み立て(素組・ゲート処理のコツ)

工具自習室

プラモデルのキットを買ってニッパーなど工具も買っていざ作ってみると、
「意外と綺麗に作れない」ことがあると思います。
とにかくいっぱい作って段々上手くなるのも一つの方法ですが・・・
「ちょっとしたコツ」を知っていれば、プラモ製作も「楽しく・楽に」進めることができます。
まずは、EGガンダムの組み立て工程に従って私なりの「基本的な工具(ニッパー・やすり・デザインナイフ)の使い方」を説明します。

ゲートカット

ランナーからパーツを切り取るのにニッパーを使います。
「パーツ側に平らな面を向けて」
「パーツから少し離れた位置に」
「刃を当ててから、力を加える二段構えで」切り取ります。

ニッパーは新品ならスムースに切れます。
しかし「パチン」と音がなる場合は切れ味が落ちてゲートが「折れている」可能性があります。
その場合は、さらにパーツから遠い位置に刃を置くようにしましょう。

2度切りのすすめ

ニッパーは「手で作業するので、どうしても力を入れると刃が途中で動きます」
パーツ付近に刃を入れて力を入れると、「えぐれ」「折れ」「白化」などの事故を起こす可能性があります。
「パーツから1mmほど離れた場所でいったん切り離し」
「再度パーツ付近で切る」
事故を防ぐためにも2度切りが推奨します。

実は片刃ニッパーで「力が逃げないように固定して切る」なら2度切りの必要はありません。
しかしながら、「いつでも、綺麗に刃が当てるスペースがある」とは限らないのが現実です。
「とりあえずランナーからパーツを外して、視界とニッパーの刃が届くスペースを確保する」方が
何も考えず作業できるので、結果効率が良いやり方になります。

残ったゲート跡をさらに切る

ニッパーの刃をゲートとパーツの境い目に当てて、「刃がパーツから離れる方向になるよう」なイメージでゲートを切り飛ばします。

「刃をパーツと平行に入る」方が綺麗に仕上がりますが、少しでもずれると「パーツがえぐれ」ます。
パーツがえぐげれてまうとは「埋める」か「えぐれごと削っ」て修正するしかありません。
すごく手間が増えるだけでなく、色味やつやが変わって見た目が悪くなるなど取り返しがつかない事故になる場合が多々あります。
ニッパーでのゲート処理は「2度切り」と言わず「少しずつパーツに近づけながらカットして、パーツギリギリ手前まで」にとどめた方が良いと思います。

ぎりぎりまで残ったゲートは「アートナイフ」で少しずつ切り飛ばします。
アートナイフは切れ味が良く、切断面が白化しにくいのが特徴です。
しかしながら、切れ味が良すぎて少しでも操作を間違えば「えぐれ事故」も起きやすいです。
したがって「成型色仕上げでやすり掛けでつやが変わるのが絶対に嫌」でもない限りは
あえてアートナイフを使う必要はないかもしれません。

ゲート跡を消す

ゲート跡は基本的にやすり掛けで消していきます。
ただし、どれだけ丁寧にやすり掛けをしてもゲート跡は「目立たなくなるだけで基本的に消えません」
その理由は後述しますが、まずはやすり掛けの基本を説明します。

やすり掛けの目的は

やすり掛けは主に「ゲート跡の処理」と「形状出し」のために行います。
プラモデルは製造の工程上「上下に分かれた金型に、ランナー(枠)から液状の樹脂(プラスチック等)を流し込んで固まった樹脂を取り出す」ので、
「液体から固体になるときの収縮(ヒケ)」
「金型の合わせ目のはみ出しやずれ(パーティングライン)」
「金型から取り出すための押しだし(押しピン)」
が発生します。

「本来の形状」にはないものを削って「本来の形に近づける」のがやすり掛けの目的です。

やすりでゲート跡を処理する

ニッパーで切り出して残ったゲート跡はやすり掛けで処理します。
ゲート跡はパーツ表面と比較して「少し硬い」ので、まずは荒めのやすりを使い軽い力で「表面に少し傷がつく程度まで」一気に削り落とします。

モールドなどがない場合は#240番を使い「少ないタッチ」で「しっかり削る」方が、#400番以上で少しずつ削るより結果的に「速く綺麗に仕上がる」場合が多いです。

ゲート跡が硬くて消えない理由は

プラスチックは成型上、ゲートからパーツへ樹脂が流れ込む際に「流れの向きが変わる」ので微妙な硬さの違い(密度の違い)ができます。
「ゲート跡が完全に消えない」のも同様の理由で「木の幹と枝」のような「樹脂の流れの節」ができるためです。

形状をだす

ゲート跡の処理が終わったら、表面処理を行います。
表面処理は「形状出し」と「研磨」の2段階の工程にわけられます。
形状出しは「ヒケやパーティングラインを消す」「平面の歪みをとる」「エッジを際立させる」などパーツを削る作業で、やすりなら#400番までを使用します。
研磨は「やすり傷などを消して表面を平滑にする」作業になるので#600番以上を使用します。


形状出しのコツは荒めの番手で「エッジをつぶさない」ように「当て木を使った板やすり」で「一面ずつ」「エッジからやすりの端がはみ出さない」ように「パーツの上でやすりを止めず、パーツから少し行き過ぎたあたりでやすりを遠ざけて」「よく見て」削ることです。

曲面でももいきなりスポンジやすりは使わず、「当て木をを使った板やすり」で、面に沿うように「丸く動かして」削ってまずは形状を出してしまいす。

形状出しのやすりの動きは「一方向に動かして、往復運動や円運動はしない」ようにしましょう。
「やすりを円運動させる」と思わぬ方向に歪みや傷が入りすくなり、修正の手間が増えます。

エッジを出すこつ

エッジの丸まる原因は、エッジからやすりがはみ出して「隣の面にまわりこむ」ためです。
エッジ付近では「やすりは立てて、やすりの縁のみが当たるように」、エッジと平行ではなく「少しななめ方向に」滑らせる様にイメージして、やすりを動かします。
まずは、「ななめ1方向に当ててエッジの線を出し、続て逆方向にクロスさせるようにやすり掛けをして最初の傷を消す」とやすりの縁の剛性で「回り込み」が起きず綺麗にエッジが出せると思います。

研磨(表面を平滑に)する

形状出しのためのやすり掛けで出来た#400番までの傷は番手を上げたやすりで消します。
研磨には神ヤス#800番を使用します。
#400番の傷は本来#600番で削った方が簡単に消えますが「少し使い古した#400番の神ヤス」でも十分に削れますので、#800番でなかなか傷が消えない場合、一旦戻って番手を下げたやすりを使ってみましょう。

研磨のやすりの動きは「やさしい力で素早く楕円または往復運動」で行います。
パーツ表面を「よく見ながら」全体的に「均一のつや」になるまで、磨きます。

やすり掛け(ペーパー掛け)のコツは

「とにかく目詰まりしないようこまめに掃除する」ことです。
やすりは少し削っただけで、プラスチックの粉が目詰まりして切削力が落ちます。
そのまま使っても、いつまでたっても削れないですし、やすりの摩擦で粉が固着してやすりの寿命も短くなります。

そんな時は「メラミンスポンジでさっとひと撫ですれば、簡単に粉は落ちます」
やすりの面もこまめに確認して、目詰まりしたらすぐに掃除するようにしましょう。
目詰まりの問題さえなければ、「水砥ぎ」をするメリットはほとんどなくなります。

水砥ぎをどうするか?

実は「研磨作業の基本は、水砥ぎ」です。
「粉が舞うのを防ぐ」「目詰まりを防ぐ」「切削粉による傷を防ぐ」「熱による溶着を防ぎ工具寿命を延ばす」のが主な目的(メリット)になります。

水砥ぎのやり方は、「パーツの入る大きさのボールを用意」して、「パーツとやすりをじゃぶじゃぶ洗い」ながら「なるべく切削粉が付いてない状態」で作業をします。
切削粉はペースト状になって水に落ちるので「粉じんは防げます」が「パーツ表面に水が残り、傷の状態が目で見てわからない」ので、キッチンペーパーで拭き取りながら確認することになります。
「カーモデルや鏡面仕上げ」など#1200番から#2000番以上の「切削粉による傷を許さない」場合は必須の作業になりますが、「結構めんどくさい」ので「手間とメリット」を天秤にかけて、個人の好みで行ってください。

やすり掛けは#何番までやればよいか?

仕上げの目標と個人の好みで変わるので、正解はありませんが一応の目安で
#400番は傷は少し残る。無彩色のパーツ(グレーと白)ならほぼ気にならない。「写真を撮る」のが目標なら厳しい仕上がり。
#600番はほぼ傷が目立たなくなる。艶消しならほぼ気にならない。「使い古した#400番」など、形状が少し変わる程度の番手を使います。
#800番はつやが落ちるがほぼ平滑。有彩色のパーツ(青や赤)でもオーバーコートや塗装すればほぼ気にならない。
#1000番はつやが落ちるが平滑。つや有り塗装や#1200番以上のサーフェイサーを吹いて研ぎ出しする場合はそれなりに効果がある。

正直#800番と#1000番の違いは「私にはわかりません」。
私の場合は塗装するので#400番まで掛けて、傷が気になる時だけ「使い古した#400番や#800番」を部分的にやすり掛けして仕上げとしています。

カンナ掛けによるやすり傷消し

#400番までやすり掛けをした上で「デザインナイフ」をカンナのようにパーツ上で滑らせてやすり傷を消すのも手です。
上手く削れば#1000番近くの「つや」が出ますし、狙ったところを削りやすくとても便利な処理方法です。

円柱状のパーツにあるパーティングラインもナイフによるカンナ掛けが有効な場所です。
ただし、デザインナイフによるカンナ掛けは刃がしなって(ビビって)表面の形状に倣うので「歪みを消したり」「エッジの直線を出す」等の形状出しには不向きです。
あくまで「傷消し」にとどめ、やすり掛けと使い分けましょう。

あとは、組み立てて完成

丁寧に表面処理をすれば、それだけ完成度もあがり「綺麗なプラモデルを作る」ことは出来ます。

ただし、「ゲート跡の処理」や「ヒケ・エッジ出し等表面処理」は
「本人が気にならなければ、絶対しなければならないものでは決してありません。」

現在のガンプラ等キャラクターモデルはとても精度の良い金型で出来ています。
「プラスチック特有の平滑な表面を楽しむ」のも良いですし「塗装表現だけで楽しむ」のもありです。
プラモデルは「自分で作ること」が一番の楽しみであり醍醐味なので「好きなように作りましょう」

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