アオシマから発売のV.F.G(ヴァリアブルファイターガールズ)VF31Jジークフリート マクロス35thアニバーサリーをエアーブラシによる全塗装で製作してみます。
キットは「マクロス・ヴァルキリーのコンセプト」を再現した組み換えによる3段変形が可能。
それぞれの形態で「美少女と組み合わせて破綻ない造形」が素晴らしいです。
特にガウォークをバイクに見立てたスタイルは「お尻をセクシーに見せれる」最高の発明だと思います。
「付属シール」で一応未塗装でも仕上がります。
ただし、「未塗装シール仕上げ」の完成度は正直かなり低いです。
シールなので厚みもあり追従性が悪く、発色が弱いのでパーツが透けて見えます。
個人的には「塗装が前提のキット」だと感じます。
今回ガール部分はグラデーション塗装で「美少女フィギュア風」の柔らかいタッチで製作しました。
まずは仮組です
このキットはランナー数がかなり多いのです。
ランナー番号の文字も小さいので、マスキングテープでタブを付けてからパーツを切り出します。
クサビ型ゲートを採用しているので、ゲート処理は比較的楽です。
ただしパーツ数が多いので、処理漏れがないよう、切り出すごとにゲート処理。
荒く2度切り後、#240番のヤスリで形状出しをして、使い古しの#400番までかけておきます。
ガール本体の合わせ目は「流し込み接着剤」の溶着で消しておきます。
流し込み接着剤は溶かす力が強いのでABSでしっかり溶着できます。
足首のジョイントがかなり細いです。
軸を削るか穴を拡大して、「関節のしぶみ」をしっかり調整しておきましょう。
多少緩くなっても、荷重(上体からすべての重みがかかる)で意外と自立できます。
私は塗装後ポージングをする際にねじ切ってしまい大変なことになりました。
ボディーのラインはしっかりモールドが入っています。
ここは塗装で塗り分けたいので、「ホーリー0.15mm」でモールドの彫り直しをしておきました。
変形とクリアランスのチェックをします
仮組が完了したら、変形させてみます。
ガウォーク状態はまずガールを大きく前屈させます。
股関節のフレームに負荷がかかるため、ボディの合わせ目が広がりやすい感じです。
ここは、強度を重視して接着してしまい、合わせ目も消すことにしました。
ガウォーク時のガールと機体のふともものスレが怖いです。
変形の際はまずガールの開脚角度を決めて、機体側の脚の角度を調整しながら乗せる方が良いでしょう。
ガウォークの搭乗時は足裏のダボで固定されます。
ハンドルと足の四点で支持されるので意外と安定感はあります。
バトロイド形態はかなり後方に重量がかかります。
足の接続はガールの脛のダボ穴でしっかりハサミ込むので、一応自立はできました。
ガールの塗装をします
キットにはシールが付属しますが「スケスケ」なので、正直使い物になりません。
ここは頑張って塗装で塗り分けたいと思います。
美少女フィギュアはベタ吹きだと玩具っぽくみえるので、グラデーション塗装をすることにしました。
キットはABSとPSが混在しています。
肌色など成型色を活かしたいので下地として「マルチプライマー」を吹き付けておきました。
肌の塗装
フェイスパーツのタンポ印刷を保護するため、マスキングゾルでマスクします。
後でオーバーコートするのであまり厳密にする必要はありません。
肌シャドー色「サフレスフレッシュピンク 2:サフレスフレッシュオレンジ 1」
赤味の強いクリアフレッシュを調色。
お尻の影・脇の下・内もも・艤装の境界に細吹きしておきます。
顎の影・アイホールのくぼみ・指先もシャドーをいれておきました。
肌基本色「基本フレッシュ」をそのまま使いました。
面の中心からシャドーを追い込むように、少しずつ面積を広げて吹き付け。
顔料系塗料なので、処理後の合わせ目もシャドーのはみ出しも修正できます。
キットの肌色はかなりオレンジ味が強いです。
好みにもよりますが、下地をホワイトにした方が「今風」の肌色になるかもしれません。
肌のオーバーコートをします
「アイデカール」を使用する場合はオーバーコート前に処理しておきましょう。
写真では先にコートをしてしまっているので「アイペイント」後再コートしました(二度手間)
肌オーバーコート「GXなめらかスムースクリアつや消し+ミルキーホワイトパール微量」
パール塗料を添加した半ツヤのクリアで、しっとりした肌のテクスチャーを表現します。
若干白っぽくなり、シャドーのコントラスト(彩度の差)が増しました。
黒色パーツの塗装
黒パーツ基本色「ウィノーブラック 1:パープルバイオレット 1」
真っ黒は「反射色が入りやすい」ので少し彩度を足した方がが使いやすいです。
黒パーツにとりあえずベタ塗しておきました。
黒パーツハイライト色「ニュートラルグレー2 6:ウィノーブラック 1」
かなり明るいグレーを調色。
面の中心から細吹きして、荒めのグラデーションをかけます。
この時点ではかなり大きめにハイライトを吹いています。
黒フィルター色「ウィノーブラック 1:EXクリアー 3」
顔料多めのクリアーブラックを調色。
ハイライト色の飛び散り(スパッタ)を修正しつつ、基本色を重ね吹き。
いわゆる「シャドー吹き」です。
ある程度グラデーションが馴染んだら、さらに溶剤でシャバシャバに溶いた塗料をコート。
一層塗装面ができることで、基本色とシャドーがなじみます。
白パーツの塗装
白パーツシャドー色「EXホワイト 3:パープルバイオレット 1」
淡いスミレ色をパーツのエッジと下側1/3と裏面に吹き付けておきます。
白パーツ基本色「EXホワイト」そのまま使いました。
面の中心から上側を白く=明るく吹き付け荒めのグラデーションをかけます。
一度塗料を皿に戻してクリアで3倍以上に割ったクリアホワイトを作ります。
溶剤でシャバシャバに溶いた塗料を、少し遠目からレバー引き気味でフワッと吹き付け。
しっとり濡れるまで吹き付け一層塗膜を作ると、レベリング効果でグラデーションがなじみます。
青色の塗分け
白パーツには塗分けがあるので、マスキングをしていきます。
脛・腰・サイドアーマー・リアアーマー・ヘッドセットは直線的な塗分けが多いです。
モールドを目印に細切りマスキングテープを少しずつ貼り付けていきました。
青色の塗装
青基本色「ブライトロイヤルブルー」を薄く吹き付け。
美少女フィギュアは「パステル調」の方が「柔らかな印象」になります。
機体色より少し明るめの青色を選択しました。
ただし発色が良いので白のグラデーションは消えてしまいました。
黒色の塗分け
白パーツは青色と黒色の3色塗分けになっています。
本来マスキングで塗り分ける場合は、低い面側から高い面側に塗る方が楽です。
今回は逆に低い面である黒を最後に塗ることにしました。
これは、「明るい色に暗い色を重ねる」方が下地のリセットの手間が省けると考えたからです。
サイドアーマーの丸モールドとリアアーマーは「逆エッジ(段落ちの底面)」の塗分けになります。
細切りテープで「縁の周り込みをマスク」するのはとても難しいです。
そこで、まずテープを大雑把に貼り、パーツ上でカットすることにしました。
逆エッジを利用すれば、あまりナイフがズレることもありません。
塗装面にナイフを当てることになりますが、逆エッジの影(モールド)になるので傷は目立ちません。
膝とコスチュームの胸・腹・背中はゴールドを塗る予定なので、下地を黒にしたいところです。
同様に「パーツ上でテープをカット」してマスキングしておきました。
黒色の塗装
黒基本色「ウィノーブラック 1:パープルバイオレット 1」
赤味と青味を足して明度を少し上げた黒を調色。
ベタ塗りで吹き付けておきます。
膝も金色の下地として黒色を吹いておきました。
金色の塗分け
リアアーマーの黒部分を細切りテープでマスク。
ボディは複雑な曲線なのでパーツ上でテープをカットしてマスキング。
サイドアーマーの「長丸モールド」は市販のサークルマスキングテープの外側を使いました。
細かい曲線の塗分けは「パーツ上でテープをカット」が難しいです。
角のR面など使える場面が多いので「サークルマスキングテープ」はおすすめです。
金色の塗装
金色基本色「スターブライトゴールド」をベタ塗り。
メタリック塗料は少し遠目から、「すぐに塗面が乾く」ように薄く吹き付けます。
通常メタリックに含まれる金属片は凝集性(粒子同士がくっつく性質)が強いのが特徴です。
塗面が塗れていると「粒子が泳ぐ」ので塗装がまだらになることがあります。
そこで塗面が塗れている時間をなるべく減らす塗装方法が必要になります。
具体的には「乾燥の速い溶剤」で一度に吹き付ける量を減らすため、ブラシの距離を離します。
何度も吹き付けと乾燥を繰り返し「塗膜層の数を稼ぐ」ことで、均一な発色させていきました。
コスチューム白色の塗分け
コスチュームの中央部分は白色なので塗り分けが必要です。
複雑な曲線の連続になっているので、テープをパーツ上でカット。
モールドを深く彫り直しているので意外と簡単にマスキングできました。
コスチューム白の塗装
白ハイライト色「EXホワイト」でグラデーションをかけます。
黒パーツにいれたグラデーションを潰さないように「ハイライト部分だけ」狙って細吹き。
荒くグラデーションをかけたら、一度塗料を皿に戻します。
EXクリアを3倍程度足した「クリアホワイト」を調色して全体にフワッと吹き付け。
様子を見ながら「薄っすらとシャドーが残る程度」まで塗料を重ねて「つや有り白」に仕上げます。
髪の塗装
成型色は鮮やかなレモンイエローですが、パッケージイラストは明るい金髪に見えます。
折角塗装するので、イラスト風のグラデーション塗装をしたいと思います。
髪シャドー色ピンク「コーラルピンク 3:マイルドオレンジ 1」
明度の高い少し黄色味のあるピンク色で基本色とコントラスト(色味の差)を強調して調色。
髪の谷間や裏側など、はみ出しは気にせずしっかり発色させます。
髪基本色黄色「EXホワイト 2:マイルドオレンジ 1」
ほぼ白色の明度の高いクリーム色を調色。
シャドーを追い込むように髪の山側を狙って細吹きします。
荒めにグラデーションを掛けたらEXクリアーを混ぜて、全体を発色させます。
髪パーツは複数あるので「各パーツの色味を見ながら」ほぼクリーム色になるまで吹き付けました。
クリアピンクパーツの塗装
クリアパーツはゲート処理をすると「すこし、クモリます」
これをヤスリで処理すると大変ですが、「クリアを吹き付ける」だけである程度透明感が戻ります。
今回「蛍光ピンク」を吹き付けて「やすり掛けのクモリを取る」ことにしました。
左側は白パーツを下地シルバーでキャンディ塗装していますが、イマイチなので使いませんでした。
ハンドパーツの塗分け
ハンドパーツは黒のグローブが塗り分けになっています。
ゾルでモールドに沿って大雑把に指先をマスキング。
基本色ブラック「ウィノーブラック+パープルバイオレット」を調色してエアブラシで吹き付け。
はみ出しは余った塗料の筆塗りでリタッチしておきました。
アイペイントをします
キットには瞳印刷済み二つと無地のフェイスパーツが付属します。
「瞳のタンポ印刷」は「タイリング(ドットによる中間色)もなく」非常に出来がよいです。
一方水転写デカールは「若干粗目の(ドットが目立つ)印刷」になっています。
さらに、「パッケージ顔」である「少し上目遣いの左目線の瞳」が付属していません。
ここは、デカールをリタッチすることでパッケージ顔を再現したいところです。
瞳デカールをはります
アイペイントの下書きとしてデカールを貼ります。
パッケージは「左目線」なので17番(18番)が近いでしょう。
瞳デカールを貼るコツは3点
- 「間隔」は自分が思ってるより「広め」にすること
- 「高さ」がズレないように「顔の向きを左右に振ってチェック」すること
- 「マークセッター」は使わず「納得いくまで少しずつ調整」すること
適宜水やデカールのりでデカールを浮かせて「まずは位置決め」をします。
位置が決まったら改めて「ホット綿棒」で曲面に馴染ませていきます。
よほどアイホールが深くない場合「マークソフター等軟化剤」は不要だと思います。
軟化剤を使うと「以後デカールの位置調整は不可能」になります。
マークソフターは「最後のおまじない」程度に使用した方がいいでしょう。
オーバーコートをします
瞳デカールの保護とつやの表現のため「EXクリアーつや有り」でコートします。
外装の白パーツとボティスーツは「てかてか」にして、肌色との質感を変えてみました。
瞳はリタッチするので、まずはつや有りの表面にしておきます。
瞳を自分好みにリタッチします
白目を追加します
「上目づかい」を表現するため、瞳の下側と目元に白目を追加。
瞳下辺にはみ出しても良いので、見本を見ながら「大きさとバランス」に注意して形状をだします。
「エナメルホワイト+グレー微量」濁った白を「フィニッシュマスターで削りだし」しました。
納得いく形になったら一旦「スプレークリアつや有り」を吹いて塗膜を保護(セーブ)します。
目の輪郭を描きます
白目の追加で消えてしまった瞳の輪郭を「ハルレッド+ブラック微量」で描き直します。
デカールは「網掛けの中間色」で薄く感じるので「アイライン」をトレスしてクッキリさせます。
眉毛も同様にトレス。
瞳孔の外側のライン(虹彩の凹凸表現)も薄いのでなぞっておきました。
削り出しで形状を整えたら「2度目のセーブ」をします。
虹彩などの色を塗り直します
虹彩の色も「網掛けの中間色で薄い」ので塗り直します。
まず「ブルー」と「グリーン」と「ホワイト」を塗料皿に1滴だけのせます。
「ブルー」をベースに「グリーン」を少し混ぜて「黄色方向に色をづらし」ます。
良い感じのターコイズブルーができたら、虹彩の上側半分から塗っていきます。
塗料皿上で「ホワイト」を足して明度を上げながら下半分を塗ってグラデーションを掛けました。
虹彩のしわのラインを消さないように、少しずつ修正しながら塗りなおしました。
ついでに「白目にかかるまぶたの影」も塗り直します。
「ニュートラルグレー+ホワイト」を少しづつ乗せて「影をくっきりさせました」
ここで「3度目のセーブ」をします。
瞳のハイライトなどの追加
虹彩のリペイントでハイライトが消えたので、「ホワイト」で描き直します。
上側の楕円と下側の反射光を削り出しで整えました。
瞳孔内の反射光はさすがに、私の腕では描けないのであきらめました。
口は「ホワイト+レッド微量」の淡いピンクでスミイレの要領で描きます。
ついでに、チークもエナメル塗料で描きました。
そのままでは「クドイ」ので、溶剤筆で周辺を叩いてぼかします。
ほっぺたのハイライトは爪楊枝の先に塗料をつけて「スタンピング」で描きました。
これでアイペイントは完了したので「肌のオーバーコート」をして艶を整えます。
仕上げのオーバーコート
最後に全体のつやを調整と塗膜保護のため、オーバーコートをします。
外装白とボディはすでにつや有りにしているので、髪・前腕・ブーツなどはつや消しにします。
「GXなめらかスムースクリアつや消し」で砂吹きからしっとり濡れるまで何層か重ねました。
乾燥するとしっかりしたつや消しになります。
組立をします
ガールを組立たら完成ですが、足首のハメ合いがきつく「まったく可動しません」
無理やり動かしていると、ねじ切れてしまったので補修しました。
パーツ請求はお金も時間もかかります。
ここは、キットに付属する「ポニーテールのジョイント」が使えそうです。
軸径は同じなので長さだけ調整すればそのまま使えます。
軸の長さが少し足りないので、2個を接着して延長しました。
軸径は少し削って「ゆるく」しておき、破損しないようにした方が良いでしょう。
多少関節が緩くても一応自立しますし「渋みの調整」は後からでもできます。
「サーフェーサーEVOブラック」を吹きっぱなし塗装して完了とします。
完成です(レビュー)
組み立てたら完成です。
可動は良好で、お腹まわりが動くので「反り腰」ができるので表情もつけやすいです。
膝は二重関節ですが、あまり深くは曲がらず「パケージのポーズ」は難しそう。
足の付け根が「引き出し式」なので、「脚を大きく上げたり」「座りポーズ」もできます。
注意すべきは、足先と脛の接続が「45度の角度」があることです。
このため接地の調整などで足先の角度を変えたい場合、「直感的に曲げるとねじれがおきます」
実際は「スイング」させてから「つま先の角度」を変えるツーステップをすれば可動はしますが・・・
ここはボールジョイントなどにしてほしかったです。
お尻の造形が素晴らしい!
ただしアーマーを付けると隠れてしまうのが少し残念です。
スタイルは「ちょっと足が長い気もしますが」とても「美しいキット」でだと思います。
カラーガイド(カラーレシピ)
塗料メーカーは[C]クレオス[G]ガイアノーツで表記
比率は先頭のベースカラーから色味を調整しつつ調色しています。
肌基本色=キャラクターフレッシュ1[C] 3:キャラクターフレッシュ2[C] 1:EXホワイト[G] 5
肌シャドー色=サフレスフレッシュピンク(G) 2:サフレスフレッシュオレンジ(G) 1
黒パーツ基本色=ウィノーブラック(C) 1:パープルバイオレット(G) 1
黒パーツハイライト色=ニュートラルグレー2(G) 6:ウィノーブラック(C) 1
白パーツ基本色=EXホワイト(G)
白パーツシャドー色=EXホワイト(G) 3:パープルバイオレット(G) 1
青基本色=VO34ブライトロイヤルブルー(G)
金色基本色=スターブライトゴールド(G)
髪基本色黄色=EXホワイト(G) 2:VO33マイルドオレンジ(G) 1
髪シャドー色ピンク=VO13コーラルピンク(G) 3:VO33マイルドオレンジ(G) 1
クリアパーツピンク=蛍光ピンク(G)
その他エナメル塗料
ハルレッド・ブラック・ホワイト・ブルー・グリーン・ニュートラルグレー
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